CPEDI3★Gotemba_1
11/19(土) CPEDI3★GOTEMBA 2019 取材レポート
日本体育大学 津田洋志
11/17から4日間の日程で静岡県御殿場市の御殿場市馬術・スポーツセンターで行われた東京馬術大会。
取材をした11/19の【フリースタイル種目】には、前日までに一定の基準を満たした6選手が出場権利を得た。
パラ馬術は障害の程度によってⅠ〜Ⅴまでグレード分けがされているが、もっとも重いグレードIで、唯一11/19の競技に駒を進めたのがアテネパラリンピックの出場経験を持つ明石乗馬協会の鎮守美奈選手。愛馬ジアーナと共に演技をした。鎮守選手の日常生活は車椅子が欠かせない。演技中は、馬が鎮守選手を導いているかのようで、2人の「人馬一体」という言葉が体現された演技が感じられた。
他の競技と一線を画しているのは「馬最優先」であること。馬のコンディションは競技成績を大きく左右する。競技会場への移動、競技中のカメラシャッター音、服装などあらゆることが馬のことを考えてメディアにも制限されている。馬が通れば誰もが道を譲る、すべてにおいて馬優先だ。加えて大会期間中は雨と、時に霧に見舞われたため馬のコンディションが特に心配された。
今回、東京2020大会出場権をかけた2019年最後の戦いであったが、現場の雰囲気は表彰式まで終始和やかだった。パラ馬術は少数精鋭なので役員・選手を含めて誰もが顔見知りということもあってマイナー競技ならではの居心地の良さを感じた。
課題に感じたのは新規ファンの獲得だ。観客席、立地とアクセス、飲食店等のイベントブースなど様々な箇所に改善点を感じるが、一番は競技としてのわかりやすさに欠けるところだ。馬術はその美しさを競うスポーツ。どういった動きが美しく、そうでないのか、どこに醍醐味があるのか。観客は事前に知識がなければ楽しさは半減してしまう。裏を返せば、その場の解説やオフィシャルのガイドブックなどがあれば、少しでも競技の魅力を感じることができるだろう。現状、身内だけの競技会で落ち着いているというのが私の印象だ。ファン獲得のための問題点を洗い出し、一つずつ解決して認知度をあげていくことが馬術競技発展の課題であるように感じた。
※写真はサポートスタッフ、愛馬・ジアーナとともに入場する鎮守美奈選手。